◆エピローグ◆
キーンコーンカーンコーン・・・




「うわー、あかねー!やばいって!
早く走んないとと遅刻するよー。」



初夏も過ぎ去り、まだ朝早いというのにすでに太陽が
じりじりとアスファルトを熱している中、
大声で話しながら制服姿の少女達が学校に向かっていた。



「えええ?うそー!もうこんな時間!?」

「あかねったら、まだ調子戻んないの?」

「んー。もうすっかり良いはずなんだけどねー。」



始業間際なのだろう。
少女達は必死に走りながら、後ろからようやく追いついてきたあかねを気遣った。



「あかねがいきなり数ヶ月間行方不明になったかと思えば、こないだようやく帰ってきたのに
その間の記憶がぜんぜんないっていうからほんとに心配したんだよ!」

「本当に心配かけてごめんねー。
もう体とかはぜんぜん平気だしさー。元気、元気!!」

あかねは手のひらを左右に振って友人に感謝すると、
また少女達は息を弾ませながら学校に向かって足を速めた。


「ほんと?よかったー。
じゃあ、頑張って走んなきゃ!
だって、一時間目、英語じゃない!
あかねだって、いっつも張り切ってたのに〜。
それも忘れちゃったの?
ほらほら、アクラム先生って言ってさ〜・・・」



「ア・・ク・・・ラム・・・?」




あかねの胸に眠っていた何かが
とくん・・・と鼓動した。



あかねはこれから起こる何かわからないが、
暖かく胸に込み上げる希望に向かい、一瞬止めていた足をまた動かし始めた。








そして物語は再び始まる。










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