◆第五章◆
それから数日後、あかね達は最後の札を入手すべく情報を収集し、
ついに最後の祠となる地を特定し、
八葉を従えその地へ赴いていたいた。


その様子を見ていたアクラムは
神子達が最後の札を手に入れる前に
札もろとも神子達を葬り去ることをランに命じていた。



今まで見てきた神子の瞳、
糺の森で触れた神子の手の温もり。



この神子を思い出す度に付随し、自らの心底に湧き出る、
その理解のしがたい感情を
彼自身には、ランに神子抹殺を命ずること以外、制することができなかった。







最後の祠の前では、ランとあかね達のやりとりが続いていた。



「他に道はないの?きっと戦う以外にも何かあるはずだよ。」

「お前はお館様の邪魔をする。だから排除する。」

「そんなのだめ!!そんなことさせない!」



ランの無表情で冷酷な台詞に確固たる信念で答えるあかね。
そこにはもう迷いはなかった。
辺りを照らす光と共に、
まるで新たな力を手に入れたように一層強くなった神気とあかねの瞳には、
すでに哀しみの色は消えていた。



(哀れみでも、蔑みでも、悲しみでもない・・・あの眼はいったい・・・)



アクラムは、自身がランに命じた事は忘れ、
ただいつまでもまばゆい光とあかねの瞳を見続けていた。





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