◆第二章◆
「僕たちのことを何も知らずになぜ、僕たちが悪いと言える。
いずれ、お館様が正しいということがはっきりするんだ。」
それは八葉が最初の札を探している際に対峙したセフルの放った言葉だった。
この台詞をアクラムは住処である洞窟の水鏡から静聴していた。
アクラムが気にとめたのはセフルと八葉達のやりとりではなく、
むしろそのときの神子の様子だった。
(まただ、またあの眼だ。なぜ神子はあのような眼をするのだ。)
あかねはセフルの放つ数々の荒言に対し、
反論やとまどいの言葉を返しながらも
時折沈んだ色を瞳に映していた。
脅えでも、痛みでもない、むしろ憐みや憂いのような、
そんな深い色合いにアクラムはいらだちを隠し切れなかった。
「正しいかどうかなんて今はわからない。でも・・・それでも!」
あかねの決心の言葉と共に強い神気が、遠く位置するアクラムの元まで伝わってきた。
(以前より神子の神気が強まっているか。あのか弱い少女のどこからこれほどの気が・・・
そして、あの瞳の色は・・・もう今は消えたようだが・・・。)
あかねの決意によって隠れた瞳の色と共に、
いつしかアクラムも闇へと消えていった。
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